住所:神奈川県
この旅は、『人生の修学旅行なんです』とお話をお聞かせいただいた天白(てんぱく)一正さん(66歳:神奈川県)。天白さんは、大学生の時に植村さんの本を読み、52日間かけて歩いて日本縦断をした植村さんに感化され、トカラ列島にある宝島に行ってみたい!と思い立ち、テントを持ってヒッチハイクの旅に出られたそうです。
社会人になり旅からは遠のいていましたが、お仕事を退職され、一息つかれた時に、この先行くことがないであろうところを巡ろうと旅に出ることを決心、3月24日、出発されました。これまで接客業のお仕事をされてこられ、人を気遣うことが日常だったからこそ、こうして単独の旅をじっくり味わうことができているのだと思います。時に歩き、時に電車に乗り、自分が行ってみたいと思うところに自分の意志で向かうことができる天白さんの旅です。
植村さんの本で読んだ西鹿児島駅にも…。植村さんも日本縦断の際にゴールした西鹿児島駅(現在は鹿児島中央駅)は、寝台特急などほとんどの列車が起終点として発着する拠点となった駅で、今回の旅の前半のゴールもやはりこの駅に決めていて、「当時、自分たちの世代にとっては、旅の始まり、ゴール地点となっていて、格別な駅だった」と天白さん。
そして、後半の旅は、九州~下関~倉敷~出雲大社~山陰を周り、冒険館を後半のゴール地として目指してお越しくださいました。
冒険館で植村さんの映像をご覧いただき、館内も2周され、植村さんに浸ってくださいました。自分が若かったころは、冒険家と言えば、とんがったイメージを持ったが、それを覆したのが植村さんだったと。
植村さんは、弱音を吐き、「自分のやっていることはなんなんだろうなぁ、こんなことをしないと満足がいかないのかなぁ」と本音をつぶやき、人間臭いこの人柄に勇気づけられ、魅かれた…と、ほろりと涙を流してお話しくださいました。
毎日、歩き初めに、今日歩けることに感謝し、1日の終わりには今日歩けたことに感謝し、道端のお地蔵さんにも自然と手を合わす自分がいるとおっしゃいます。
疲れて心がすさんでいくんじゃないかと思いきや、一期一会に感謝を感じながら心が豊かになっていくような気がすると。
今日は、これから姫路へ。テニスのお仲間から、ぜひ自分の代わりに姫路城を見てきてほしいと夢を託され請負人のような旅なんですと、リクエストに応えながらの旅でもあります。
現在、総歩行距離は約750㎞。この先は、また北陸へ向かい2週間ほど旅は続きます。
お人柄がにじむお話に、とても温かい時間をいただいた気がしました。「心を満たす」修学旅行、どうぞお気をつけて旅を続けてください。天白さん、ありがとうございました!