住所:鹿児島県
来館いただく前日、一本のお電話が。
以前4度ほど来館いただいた北海道在住のお遍路旅人、山口浩さんのお知り合いの方で自転車日本縦断中のこと。山口さんとの出会いのお話も聞けるとお待ちしておりました。
翌日、真っ黒に日焼けしたチャリダー、新内俊昭さん(鹿児島県在住:73歳)とご対面。
新内さんは、9/12、宗谷岬を出発、函館から青森、日本海側を南下中に立ち寄ってくださいました。先に述べた山口浩さんとは、四国八十八か所お遍路旅で出会われたそうで、新内さん自身も、61歳、62歳、64歳と3度にわたってお遍路旅を実施。今回の日本縦断中は、山口さんから適時アドバイスのメールが届きます。山口さん自身、北海道からお遍路旅をされた経験から、ルートと危険個所は完全に頭に入っていて新内さんの進む道が手に取るようにわかるのでしょう、このトンネルは要注意とか、回避ルートの手段とか的確なアドバイスをくださるそうです。山口さんは今、新内さんをとおして妄想日本縦断をされているとか。
さて、新内さんに日本縦断の旅に踏み出したきっかけをお聞きしました。
60歳で退職され、その後フルマラソンにはまり、年に3~4回、レースに臨むようになりました。第二の人生を楽しんでいた矢先、突如の食欲不振に襲われ、受診。すい臓がんを患っていることが判りました。幸い早期発見ということもあり、すい臓を半分切除することで、進行を止めることができました。体重も減り体力もグンと落ちてしまった新内さんですが、気持ちが落ちることはありませんでした。若いころ経験があった自転車を再開。体力づくりを兼ねて少しづつ距離を延ばしながらトレーニングに励みました。
そうするうちに2022年、日本列島自転車縦断を決心します。その裏には、息子さんからの後押しがありました。息子さんがお父さんにかけた言葉は、「父ちゃん、死ぬときにあれもしたかった、これもしたかったって言うなよ!」でした。心配の気持ち以上にチャレンジするお父さんを応援したいという気持ちの方が大きかったのだと思います。主治医の先生からは、餞別代りに薬を処方しようかと言われたそうです。
体力もつき、先生のお墨付きをいただいたところで、いざ日本縦断の旅へ。1日、なんと100km~130kmもの距離を走ります。体と相談、体力の確認をしながら行動するのですが、1日1日こうやってペダルを漕いでいることにうれしさを感じるとおっしゃいます。闘病を乗り越えてのこの挑戦は、とてつもない精神力です。お話を伺っていても、厳しい旅のはずなのに実に爽やか、すがすがしさしか感じ取れません。
10/11のゴールを目指してまい進中の新内さん。ゴールはすぐそこです!
お立ち寄りいただき、貴重なお時間をいただきありがとうございました。素晴らしい出会いとなりました。次はぜひ山口さんとお二人でいらしてください。その日が来ることを心待ちにしています。