住所:新潟県
「植村さんの生家はありますか?」と声をかけてくださった小坂さん。最初は旅人だとは思わず色々お話する中で歩いて旅行されていると聞き、インタビューさせていただきました。
小坂さんの徒歩での旅は旧道がテーマです。今回は九州・小倉から長崎・久保田まで歩いた所で家に用事ができ、一旦新潟・長岡まで帰る途中、街道にはないこの冒険館にも寄ってくださいました。
旅のきっかけはある一冊の本からでした。司馬遼太郎さんの『峠』という本の中で長岡から江戸まで七日かかったと書いてあったので、本当に七日で行けるのかと。そして今では手紙を送るのもメールで瞬間的に送れてしまう世の中と江戸時代との時間の流れ方の違いを考えていた気持ちとで会社を辞めてから、旧道を歩き始めたそうです。
小坂さんの旅は自由きまま旅とは正反対で、とっても計画的です。歩く道も旧道と決まっているので、道中に見えるものや五感のはたらき方も他の旅とは違うのかなと感じました。旅のスタイルは、その日の目的地まで車で行き、公共交通機関を使いスタート地点まで戻り歩く。ゴールには寝床の車が待っていると思えば安心感が違いますね。それでも地方の駅だと車を止める場所に困ったりうまくいかない場合もあります。1日の歩く距離は25キロから40キロだそうです。
ただただ歩くのではなく、しっかり旧道を調査し、昔の風景と重ねながらの旅で、その様子は小坂さんのHP「電子足跡」を見ていただければ!HPの雰囲気は、旅ではなく研究者のHPのようで圧巻でした。
計画的な旅の中でも予想外の事は起きてきます。それが旅の楽しみの一つでもあるのでしょうか、旅の中で思い出に残っていることをお聞きすると、いくつかお話してくださいました。北陸街道では突然の雨が降り始め、軒先で雨宿りをしていたら家の人が出てきて折り畳み傘を貸してくださった話や、東北では今でも方言がしっかり残っていることに感動したこと、東海道ではたまたま出会ったご夫婦と連絡交換せずにお別れしたけれども、ラジオ、HPがきっかけでまた繋がれたお話。HPを拝見した中では、富田勲さんの実家を偶然知った時のお話が印象的で、興奮している様子が文面から伝わってきました。
冒険館の展示もとても真剣にご覧になり、40代前半の頃、読んだ文庫本の中の『植村直己と山で一泊』で掲載されていた装備が展示されていて感動したとおっしゃっていました。展示の最後に登場する植村さんのことばも、仕事や人生においても普遍的な言葉で勇気がもらえるとおっしゃっていました。
新潟での用事が済んだらまた旅を再開するそうで、ゴールは佐多岬!今頃歩かれているのでしょうか。最後までお気をつけてひき続き楽しい街道旅を!!!